今月の臨床 Obstetrics is a bloody business
分娩時出血の診断・治療のポイント
3.産道損傷 ④外陰部血腫・腟血腫・後腹膜血腫
伊原 由幸
1
1神戸市立中央市民病院産婦人科
pp.708-711
発行日 2001年6月10日
Published Date 2001/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904359
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はじめに
分娩時の血腫は自然に発生することもあるが,会陰切開,鉗子分娩,吸引分娩などが発生のリスク因子となる.分娩時血腫は外陰部血腫,腟血腫,後腹膜血腫に分類される.外陰部血腫では主として陰部動脈の分枝が,腟血腫では子宮動脈の下行枝が破綻している.また腟の上部の血腫で,出血が持続すると血腫が後腹膜を解離しつつ上方へ増大・伸展して後腹膜血腫を形成する1).分娩時の血腫では,頭で推定している以上に出血量が多いことがしばしばあり,ショックに陥り,致命的となる場合もある.本稿ではこれら急性期の血腫について解説するとともに,典型的かつ教訓的な自験例を紹介する.
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