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1 定期検診の間隔は?
初回治療により臨床的寛解が得られた症例に対する適切な定期検診の間隔に関してのエビデンスはない.NIH Consensus Statementでは,2年までは3~4か月ごと,2年以降は検診間隔を適宜あけてもよいとしている1).また,NCCN(National Comprehensive Cancer Network)のガイドラインでは,2年までは2~4か月ごと,2年以降5年までは6か月ごと,5年以降は毎年としている2).一方,「卵巣がん治療ガイドライン2007年版」では,一例として1年までは1~2か月ごと,1年以降2年までは2~3か月ごと,2年以降3年までは3~4か月ごと,3年以降5年までは4~6か月ごと,5年以降は6~12か月ごとと比較的慎重な対応を呈示している3).以上の検診間隔はあくまでも1つの目安であり,実際には初回治療時のFIGOステージ,optimal surgeryが可能であったか否か,あるいは組織型や分化度の相違により個別化されてもよいかもしれない.
Ia~IIa期のハイリスク早期癌に関する治療成績からは,再発までの期間の中央値は22~29か月とされており4~6),再発部位はGadducciら6)によると,骨盤内(54%),腹腔内(49%),後腹膜リンパ節(13%),遠隔転移(13%)と骨盤内あるいは腹腔内が多数を占めている.再発の危険因子として,FIGOサブステージ,組織型(clear cell adenocarcinoma vs others),組織分化度(G3 or G2 vs G1)などが挙げられている4~7).一方,IIb~IV期などの進行癌に関しては,腫瘍減量手術およびpaclitaxel/platinum療法により臨床的CRが得られた症例の約75%,病理学的CRが得られた症例の約50%がその後再発するとされ,PFSの中央値は17~21か月とされている8~10).再発部位は,骨盤内(48%),腹腔内(45%),後腹膜リンパ節(14%),遠隔転移(21%)と報告されている10).再発の危険因子としては,組織分化度(G3 or G2 vs G1)と初回手術時の残存腫瘍径(>2 cm or 1~2 cm vs<1 cm)などが高危険因子とされている.また,2年以降の再発は進行癌より早期癌に多いとの報告11)や,進行癌での再発は1年以内に約50%,2年以内に約80%発生するとの報告12)があるものの,早期癌と進行癌の検診間隔を区別する根拠は見当たらず,再発の危険因子を有する症例では少なくとも2年間はより厳重な定期検診が必要とも思われる.しかしながら,再発の早期発見,早期治療が予後改善につながるか否かはいまだ不明確であるのみならず,当然のことながら,医療経済効率にも配慮した判断が必要である.
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