今月の主題 ウイルス肝炎—現況と展望
効果的予防法
B型肝炎ウイルス・キャリアへの対応—定期検診による管理
大林 明
1
,
原田 英治
1
,
田中 慧
2
1国立療養所東京病院・内科
2都立駒込病院・内科
pp.1036-1038
発行日 1985年6月10日
Published Date 1985/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219796
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わが国には200万以上ものB型肝炎ウイルスの慢性感染状態の人達(HBVキャリア)が存在している.近年,わが国におけるキャリアの予後,転帰は,その経過中に慢性肝炎に罹患することはあっても肝硬変,肝細胞癌にまで進展する頻度は低く,大部分は最終的には健康キャリアの状態に落ちつくことが多数の観察例から判明してきた.しかしキャリアを集団としてみた場合は,明らかに肝硬変,肝細胞癌にhigh-riskである.したがって,個々のキャリアに医学的管理のもとで適切な保健指導,あるいは診療を施す,という配慮が必要である.
このような観点から筆者らは,昭和53年以来,キャリアを対象としたクリニックを設けて,献血時に発見されたもののほか,職場検診,住民検診,あるいは家族調査で発見されたキャリアに対しての保健指導と診療に携わってきた.ここに実施内容を記載して参考に供したい.
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