今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
III 婦人科癌治療
【子宮頸癌】
1.子宮頸癌における円錐切除の限界は?
中西 透
1
1愛知県がんセンター中央病院婦人科
pp.545-549
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101742
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1 はじめに
近年の診断・治療技術の進歩や子宮癌検診の普及に伴い,子宮頸癌の多くが初期で診断されるようになった.日本産科婦人科学会婦人科腫瘍委員会の子宮頸癌患者年報によると,2003~2005年の45.2%がFIGO 0期(上皮内癌),10.4%がIa期(微小浸潤癌)で診断されている.これら初期癌は生命予後が非常に良好であることから,子宮頸癌全体の治療成績も比較的良好である.
以前これら初期癌に対する治療は子宮全摘術が一般的で,子宮頸部円錐切除術は縮小治療であるため根治性が劣ると考えられ,その適用は子宮体部・妊孕能温存目的のみに限定されていた.しかし,比較的低侵襲であることや,手術機器の改良により安全かつ簡便に施行できるようになったことなどから,子宮頸部上皮内癌~微小浸潤癌に対する手術治療として,また子宮頸部異型上皮に対する予防的治療として,近年は年齢など適応を限定せず広く行われるようになった.
ここから本題に入るのだが,本特集の趣旨を考えると初期子宮頸癌に対する子宮頸部円錐切除術の適応について述べるべきである.しかし,近年はエビデンスによる治療の標準化の時代にあり,わが国でも子宮頸癌についてガイドラインが作成されるなど1),統一した治療が望まれるようになった.このような事情もあり,今回はガイドラインに基づく標準治療とそれについての考察,子宮頸癌に対する円錐切除術の当院での経験について,概説する.
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