今月の臨床 産婦人科臨床の難題を解く─私はこうしている
II 不妊治療
【ART】
8.着床前遺伝子診断(PGD)の適応は?
末岡 浩
1
1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.538-543
発行日 2008年4月10日
Published Date 2008/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101741
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 はじめに
生殖医学は本来遺伝形質を後世に継代するための医学手段であり,体外受精の発展を中心として飛躍的な進展を遂げている.同時に遺伝医療はその情報の解析によって生殖医療と密接に関連している.その融合技術として,着床前遺伝子診断(preimplantation genetic diagnosis : PGD)の概念が発生した1).さらに,PCR(polymerase chain reaction)法やFISH(fluorescence in situ hybridization)法などを用いて遺伝学的情報の診断を単一細胞から得ることができるようになったことが必要条件となって発展に至っている.
その一方で,技術的な発展とは別に倫理面での議論が表在化し,新たに社会に公開した意見交換を経て,さまざまな意見のなかから本邦でのあるべき実施の形が議論され,実施に至った経緯がある.したがって,適応を論ずる場合に技術面のみならず,倫理面における対象も重要な論点である.遺伝医療として特徴も含め,実施に至るまでの多様な要素に配慮する必要がある.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.