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はじめに
子宮頸部円錐切除は,古くから従来のメスを使用したcold knife conizationから,最近では高周波や各種レーザーを使用したhot knife conization,超音波を利用したものまで多岐にわたる.それぞれ良し悪しはあるが,本稿ではその円錐切除としての手技はさておき,どこまで治療的円錐切除は可能であるかという問題について検討してみたい.
現在わが国で用いられている子宮頸癌の臨床進行期分類は1994年のFIGO分類に基づいて作成され,1997年に日本産婦人科学会で採用されたものである1).Ia期が浸潤5 mmまでと拡大されたことは,子宮頸がんの最大のリスクファクターであるリンパ節転移がIa期のなかに含まれる可能性が高まったということである.旧Ia期では脈管侵襲や癒合浸潤が認められない浸潤3 mmであったのに対し,Ia1期でさえ浸潤3 mm以内であれは縦軸方向の拡がりが7 mmを超えなければ脈管侵襲(lymph vascular space invasion : LVSI)があってもよいとされた.ようやく旧Ia期までは治療的円錐切除でよいとほぼコンセンサスは得られたばかりであるのに,LVSIが存在しても可能かどうか.さらに旧Ib期からstage downされた3~5 mm浸潤例Ia2期に関しても,縮小手術や円錐切除の適応があるかどうかも考えなければならない.
本稿では,扁平上皮癌についてまず初期浸潤癌における病理学的なリスクについて検討する.次いでその治療成績からみた円錐切除の限界について,最後に腺癌の取り扱いや治療について,日本の学会におけるエビデンスや海外の文献を中心に,当科における成績も供覧しつつ解説する.
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