今月の臨床 婦人科がん化学療法up to date
子宮頸癌
1.子宮頸癌に対するneoadjuvant chemotherapyの適応と限界
青木 陽一
1
1琉球大学医学部器官病態医科学講座女性・生殖医学分野
pp.671-675
発行日 2008年5月10日
Published Date 2008/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101762
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はじめに
子宮頸癌の治療成績は初期/早期癌比率の上昇に伴い次第に改善されている.しかしながら,子宮頸癌治療において,局所進行例やリンパ節転移例の予後は依然として重大な問題である.これらハイリスク例の予後改善を目指して,従来から子宮頸癌の主治療であった手術療法や放射線療法に,化学療法を併用しようという試みが始められた.
1982年にFrei1)は,手術療法や放射線療法などの主治療に先行して腫瘍の縮小を目指して行う化学療法としてneoadjuvant chemotherapy(NAC)を提唱した.子宮頸癌の局所進行例に対しては,1984年にFriedlanderら2)により導入され,これまでさまざまな臨床研究が行われてきた.放射線療法に先立ち化学療法を併用する治療法,手術療法に先行して化学療法を施行する治療法,さらに近年では同時化学放射線療法(CCRT)が盛んに検討されている.このなかで,放射線療法に先立ち化学療法を行う治療法は,いくつかのrandomized clinical trial(RCT),meta-analysisにより放射線単独の治療法と予後に有意差を認めないということが判明している3).また,CCRTについては他稿で詳細に述べられるので,本稿では手術療法に先行して化学療法を行うNACに関して,その現状と今後の展望について述べたいと思う.
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