今月の臨床 不妊診療─現在の課題と将来展望
不妊治療と遺伝子異常―ARTで認識すべき遺伝子異常
栁田 薫
1,2
1国際医療福祉大学病院リプロダクションセンター
2国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科保健医療学専攻 生殖補助医療胚培養分野
pp.1482-1487
発行日 2007年12月10日
Published Date 2007/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101623
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はじめに
体外受精(IVF)をはじめ卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの生殖補助医療(ART)の歴史はまだ浅い.ICSIによって世界で最初に誕生した子供たちでも15歳であり,DAZが欠失している遺伝情報を持つ無精子症の父親から誕生した年長の男の子では13歳である.ARTの実施によって,誕生する子供にもたらされる遺伝子異常の調査は玉手箱の蓋が開けられたばかりである.
近年,そのような遺伝子異常とともにゲノムインプリンティング遺伝子群の異常とARTとの関連性が議論されている.ARTが原因となっていると考えられているインプリンティング関連疾患としては,Prader─Willi症候群(PWS)やAngelman症候群(AS)などがある.この稿ではインプリンティング異常とARTとの関連について解説する.
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