シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
乳癌の遺伝子異常
松尾 文恵
1
,
三木 義男
1
Fumie MATSUO
1
,
Yoshio MIKI
1
1(財)癌研究会癌研究所遺伝子診断研究部
キーワード:
BRCA1
,
BRCA2
,
p53
,
LOH
Keyword:
BRCA1
,
BRCA2
,
p53
,
LOH
pp.919-925
発行日 1999年8月15日
Published Date 1999/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916929
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はじめに
発癌が遺伝子の変化によって引き起こされることが解明されてから,乳癌についても,さまざまな遺伝子について,その異常が検討され機能解析が行われてきた.
現在知られている乳癌に関連する遺伝子を検体,方法を選択し検査することによりそれぞれの目的に応じた遺伝子診断を行うことができる.例えば,乳癌の場合では,生検標本や穿刺吸引細胞診標本を用いた腫瘤の良悪性の診断,手術検体を用いた,予後判定や,薬剤,放射線感受性といった癌の性質の診断,手術切除標本の切除断端や,リンパ節を用いた,癌の広がりや転移の程度の診断,遺伝性乳癌の発症前診断などがある.これらは,従来の病理学的,生化学的検査に加えて,分子レベルで検査を行うことにより,さらに癌診断の精度,感度を高めようとするものである.また,遺伝性乳癌の原因遺伝子を検査することによる遺伝性癌の発症前診断は,乳癌の家族歴を持つ保因可能者がそのリスクを知り,診断結果が陽性の場合,頻回の検診を受けることによって,早期発見や予後の改善に大いに役だっと考えられる.
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