書評
落合和徳 編―『卵巣腫瘍のすべて』
稲葉 憲之
1
1獨協医科大学病院
pp.88
発行日 2007年1月10日
Published Date 2007/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101362
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本書の編者,落合和徳教授は小生と長年,日本産科婦人科学会において幹事,理事,常任理事として苦楽をともにして参りました.また,婦人科悪性腫瘍化学療法研究機構(NPO)副理事長としてもご活躍で,卵巣腫瘍の診断・治療に関する斯界の第一人者であり,また産婦人科の分野で最もお忙しい先生のお一人であります.この度『卵巣腫瘍のすべて』を上梓されましたので,以下感じるところ,思うところを簡潔に述べます.
まず,多忙を極める落合先生が本書を編集され,上梓されたことに敬意を表します.プロローグでも述べておられますが,東京慈恵会医科大学産科婦人科(以下,慈恵医大産婦人科)の「表看板」である「卵巣腫瘍」についてすべて網羅されているのではというのが第一印象であります.卵巣腫瘍の疫学に始まる基礎編,正常卵巣と卵巣腫瘍の分子生物学,次いで卵巣腫瘍の実地臨床(診断,治療)を詳細に,しかも簡明に解説し,この分野で学会をリードする慈恵医大産婦人科の面目躍如たるものがあります.加えて,フォローアップの実際,リスクファクターと予防,緩和医療とターミナルケア,治療とQOLなどについても懇切丁寧な説明がなされております.一方,卵巣腫瘍と不妊治療,妊孕性の維持,妊娠中の取り扱いなど実地医家が日常診療で遭遇する困惑事例についても項目を設け,最近の話題でもある子宮内膜症性卵巣嚢胞と卵巣癌についても解説が及んでおります.
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