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『今日の整形外科治療指針』の初版が出版されたのは,23年前である.当時,医学書院から毎年『今日の治療指針』が出版されていたが,整形外科関連の項目は少数に限られていた.待望の整形外科版が出版され,豊富な項目からなる整形外科の治療指針が示されており,病棟や当直室で,よく頁を開いたのを記憶している.この間,整形外科学は急速な進歩を遂げ,それに伴い本書も改訂を重ね,このたび,待望の第6版が出版された.主な改訂点は,新たな診断法・治療法の追加,項目の統合・廃止などである.今回は第一線で活躍中の314名の著者が,597項目を執筆しており,前版と比べると,第1章の「診断と治療総論」に大幅な改訂がみられる.整形外科技術の進歩と整形外科医療を取り巻く環境の変化に対応すべく,「整形外科におけるナビゲーションとロボット」「運動器不安定症」「EBMを正しく理解するために」「ガイドラインの考え方」「安全管理(リスクマネジメント)」「インフォームド・コンセント」などの新鮮な項目の記述が目につく.
本書の初版からのキャッチフレーズである“整形外科疾患の診療事典”が構成のベースであるが,現代的にビジュアル感覚を重視し,記述は2色刷りで,シェーマ,写真をふんだんに盛り込んだ内容になっている.診断・治療のみならず,「後療法のポイント」「患者説明のポイント」「看護ケアとリハビリテーション上の注意」「ナース,PT・OTへの指示」など,臨床現場で生じる疑問に対し,即座に解決できるように構成されており,病棟勤務を始めた研修医や研修指導医にも心強い.また,本書のユニークな点は,随所に,経験豊富な大先輩からのコラム「私のノートから/My Suggestion」が掲載されていることであり,いずれのノートも一般の整形外科教科書からは得られない貴重な示唆に富んだ内容になっている.
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