グラビヤ
汚水処理施設—落合処理場をたずねて
佐久間 陽子
,
早川 光雄
pp.33-36
発行日 1966年4月1日
Published Date 1966/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663908841
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国電中央線の窓から神田川が見える。わたしは長い間この線を使って通勤しているが,この川が汚濁して下水と変りはててから久しく,ますます,そのきたなさを増すばかりである。夏季には特に無気味な気泡とその油ぎった波紋さえ浮かび,開けはなされた車窓からは,不快な臭気が入ってくるようにも感じられる。
かって,江戸時代には上水として利用され,ずっと後にも水泳や魚釣ができたことを想像すると,やはり早急に解決されねばならぬ問題のひとつがここにもあると思われる。内陸河川,ことに大都市の河川・運河などの問題は,単に河流水の汚染に止まらず,汚濁した河底から発生する有機ガスによる一般公害にまでおよび,下水道,工場排水の処理は都市の衛生行政のひとつの焦点となっている。今月のグラフでは,施設見学をもかねて,東京都の汚水処理場として,近代的設備を誇る落合処理場を訪れてみた。
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