特集 産婦人科の治療その限界と展望
日常臨床上よくぶつかる頑症疾患の治療の限界
婦人科
月経前症候群
高山 忠夫
1
Tadao Takayama
1
1高山医院
pp.1093-1095
発行日 1972年12月10日
Published Date 1972/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204725
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月経前症候群が一つのclinical entityとして記録されたのは,1931年,FrankがArch, Neurol,Psychiat,の誌上に"Premenstrual tension"という題で報告したのが最初である1)。この論文の中では15例の症例が報告されているが,精神科医である彼は,まず精神科的治療を試み,その効果に限界があることを知り,さらに本症候群の背景には,内分泌学的な機序が関与していることをみとめ,この方向からの治療を試みている。
もちろん1930年代の内分泌学的検査法は,まだ不完全なものであり,その成績は信憑性に乏しいが,それでも,彼は尿中のホルモンを測定し,これら症例では,"female sex hormone"(mouseuterine unitで表現してある)の尿中排泄が少く,血中に蓄積するために本症がおこるのではないかとのべている。この考えは最近の研究で明らかにされた事実とは異るが,いずれにしろ,本症が単なる神経症,心身症的なものではないことを明らかにした点で意義が深い。
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