今月の臨床 症例から学ぶ子宮内膜症─子宮内膜症を侮るな
子宮内膜症診断の問題点―とくに性器外内膜症を見逃さないために
原田 省
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1鳥取大学医学部産科婦人科学教室
pp.1476-1479
発行日 2004年12月10日
Published Date 2004/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100689
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はじめに
子宮内膜症は,子宮内膜あるいはその類似組織が,子宮外の骨盤内で発育・増殖する疾患である.本症は生殖年齢婦人のおよそ10%に存在し,月経痛と不妊を主症状とする.子宮内膜症の発生病因としては,卵管を逆流した月経血中に含まれる内膜細胞が腹膜に移植したのち増殖するという移植説と,腹膜が腹腔内貯留液の刺激によって化生を起こすという化生説が有力である.いずれにしても,月経血の逆流がキーファクターになるものと考えられている.
子宮内膜症は腹腔鏡検査あるいは開腹手術による肉眼所見によって確定診断される.直視下の診断が行われず,自他覚所見から総合的に診断された場合は「臨床子宮内膜症」として取り扱う.子宮内膜症に特有の症状や診察所見から,卵巣腫大や癒着を伴った中等度以上の内膜症を診断することは比較的容易である.臨床子宮内膜症の正診率はおよそ80%といわれている.
子宮内膜症は骨盤内にとどまらず,性器外の腸管,泌尿器や肺などにも発生する.一般に性器外内膜症の診断は困難なことが多く,診断までに長期間を要することもある.本稿では,性器外内膜症診断の要点について解説する.
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