今月の臨床 生殖内分泌と不妊診療の最新データ
不妊の原因と検査
7.子宮内膜症
岩部 富夫
1
,
原田 省
1
,
寺川 直樹
1
1鳥取大学医学部産科婦人科
pp.532-535
発行日 2000年4月10日
Published Date 2000/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904007
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疫学統計
子宮内膜症は,子宮内膜あるいはそれと類似する組織が子宮内腔以外の部位に発生し,増殖する疾患である.本症の発生と進展には性ステロイドホルモンであるエストロゲンが関与している.子宮内膜症の発生時期は,早くても初経から3〜4年を経過して発症することがこれまでの臨床成績から考えられている.
確定診断された子宮内膜症と,確定診断に加えて臨床的に診断された臨床子宮内膜症の患者数から,年齢別に算出した本症の発生頻度を報告した成績を図1に示す1).10歳代後半には内膜症の発生が認められ,エストロゲン分泌が活発となる性成熟期に向かって本症の診断頻度は加速度的に増加する.そして,エストロゲン分泌が低下する40歳代後半の閉経期を迎えるとその発生頻度は低下する.この成績から,生殖年齢女性のおよそ10%に子宮内膜症が存在しているものと考えられる.腹腔鏡および開腹手術症例(妊娠関連疾患は除く)で月経を有するすべての患者を対象とした前方視調査成績では,手術患者803例中287例(35.7%)に子宮内膜症が存在した2).この成績は,内膜症が予測されるよりも高頻度に存在することを示している.
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