連載 Dos&Don'ts婦人科当直の救急診療ガイド・9
―[性器出血を伴わないもの]―子宮内膜症
上田 博久
1
,
高尾 由美
1
,
井上 卓也
1
1滋賀県立成人病センター婦人科
pp.218-221
発行日 2005年2月10日
Published Date 2005/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100180
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 はじめに
近年の女性のライフスタイルの変化,すなわち晩婚化,少子化,さらには非婚化傾向に伴い子宮内膜症は30歳代を中心に増加傾向にある1).子宮内膜症の明らかな原因は未解明であるが,一説としては子宮内膜の迷入,移植によって卵巣,卵管,ダグラス窩,仙骨子宮靱帯,膀胱,直腸などに小血腫,線維性瘢痕,癒着を発生させるといわれている.その結果,月経痛,下腹部痛,腰痛,性交痛,血便,不妊症などを発症させる.さらに月経周期を重ねるにしたがって症状は悪化する.婦人科診療のなかで子宮内膜症はありふれた疾患であるが,大部分は病理診断のなされていない臨床的子宮内膜症として診断され治療されているのが現状である.
本稿では,日常診療における臨床的子宮内膜症患者に対する対応のピットフォールについて述べる.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.