特集 性器出血とその診断
性器出血とその子宮内膜像
蜂屋 祥一
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科学教室
pp.13-17
発行日 1970年1月10日
Published Date 1970/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204142
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子宮の出血時の内膜掻爬術はいうまでもなく,診断と治療の両面を持つている。理論的には,その必要性を認めながらも,多くの場合,まず止血剤やホルモン剤の投与を行ない,効果が認められない症例に施行するのが実際である。しかし子宮内膜は出血中といえども,これに伴う組織反応や増殖が進行し,その組織変化はきわめて強い。特に機能性出血のように器質的変化が存在せず,内膜表層の剥離パターンが診断の根拠となるような変化では,出血から組織採取までの日数が著しく影響を与える。このような点から,組織診断に正確さを要求するためには, ①確実な既往・月経歴,②出血早期の掻爬診,③全面掻爬,④全内膜の病理組織学的検討が必要条件である。
子宮内膜組織診断を容易ならしめるために,まず表を掲げる。A群は正常子宮内膜であるが,既述のように時期的推移によつて機能性出血像(B群)が隠蔽されたか,または病変部がmissされたものである。
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