今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
7.がん化学療法とリスクマネージメント
福井 英二
2
,
山口 聡
1
,
竹森 正幸
1
,
高田 敏幸
2
,
西村 隆一郎
1
1兵庫県立成人病センター婦人科
2兵庫県立成人病センター薬剤部
pp.177-183
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100624
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はじめに
近年の医療事故では,「週1回投与すべき抗がん剤を,誤って毎日投与」「1日だけ投与するはずの抗がん剤を3日間連続投与」「別の患者用の抗がん剤を誤って注射」「指示量の10倍の抗がん剤を投与」など,抗がん剤の投薬ミスもよく報道されている.また,医療機関では医療事故に至らなくてもニアミス事例は毎日のように発生している.婦人科領域においても,卵巣癌と子宮頸癌は化学療法にとくに高い感受性を示す固形癌であり,術前・術後の補助化学療法はすでに重要な治療的役割を担っている.卵巣癌においては,C(A)P療法 : シクロフォスファミド+(アドリアマイシン)+シスプラチン,あるいはCJ療法 : シクロフォスファミド+カルボプラチンが長くgolden standardであったが,タキサン系製剤の開発以降はタキサン製剤+白金製剤を第一選択レジメンとする場合が多くなっている.
本稿では,婦人科癌に対する化学療法を施行するうえで,リスクマネージメントにいかに携わっていくかを,TJ療法(パクリタキセル+カルボプラチン)を例にとって考えてみることにする.
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