今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
8.不妊治療
太田 博孝
1
1秋田赤十字病院産婦人科
pp.184-187
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100625
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
産婦人科医療に伴う医療事故は全診療科のなかでトップを占め,30%を超えている.産婦人科の各分野別では,分娩に関連した事故が多く,不妊治療に伴う事故は比較的少ない.近年,体外受精・胚移植(IVF―ET)をはじめとする生殖補助医療(ART)の急速な普及に伴い,医療事故は確実に増加しつつあり,医事裁判件数は10年前の約1.5倍に達している.
医療事故に対処するのに,リスクが起こる前の事前的対応と,起こった後にとる事後的対応がある.このうち事故への対応には,医療事故の発生を可能な限り減少させる予防的措置が最も重要となる.他の1つは事故が発生したときの対応措置をあらかじめ決めておくことである.本稿では不妊治療に伴う主なリスクと,それに対する予防的対応に的を絞り概説する.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.