特集II Myelopathy・Radiculopathy
頸椎症に伴う解離性の上肢運動麻痺
大田 寛
1
,
小野 啓郎
1
Hiroshi OTA
1
,
Keiro ONO
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.1124-1132
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908538
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はじめに
頸椎症症例に上肢の運動障害や筋萎縮を認めることは稀ではない.肩甲部の著明な筋萎縮と上肢の挙上制限を主訴として受診し,レ線上,頸椎症性変化をみる症例にでくわすことがある.しかし知覚障害がごく軽いか,もしくは全く証明できない場合があり,頸椎に由来する筋萎縮と診断するのに躊躇する.このように一見,脊髄性進行性筋萎縮(SPMA)ないし筋萎縮性側索硬化症(ALS)をおもわせる臨床像を呈しながら,原因が頸椎症に起因するradiculopathyと判明した10症例について特徴を述べたいと思う.うち一例は解剖所見から障害部位と原因をほぼ確認することができた.この病態は1956年Keeganが上肢のdissociated motor lossとしてすでに1例報告した症例と同じものと考えられるが,頸椎症におけるradiculopathyの典型例として興味ある臨床像を示すので報告する.
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