特集 不安定頸椎—基礎と臨床—(第17回日本脊髄外科研究会より)
座長総括/「Ⅺ.上位頸椎(3)—CPとDown症候群—」の部
蓮江 光男
1
Mitsuo Hasue
1
1日赤医療センター整形外科
pp.367-368
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908075
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このセッションは上位頸椎の不安定性を,CPとDown症候群という2つの特殊疾患について検討した報告であり,大変貴重なデータが次々と示され,一般脊椎外科医にとって参考となった.
大成ら(横浜市大および町田市民病院)はアテトーゼ型CPにおける環軸椎亜脱臼と,それによる脊髄麻痺の成因を5症例について,頸椎症を伴う5例を対照として,X線学的に比較検討した.環椎歯突起間距離,脊柱管最小矢状径,環椎前傾角(前屈位において環椎の前・後結節を結ぶ線と水平線との角),下位頸椎前彎角(軸椎椎体下縁とC7椎体下縁のなす角)を計測した結果,①亜脱臼例では前屈位の環椎前傾角が大きく,下位頸椎は後彎の傾向があり,アテトーゼ運動によるくり返しの不随意運動により,環軸椎亜脱臼が生ずる,②亜脱臼による脊髄麻痺3症例においては,生来の環椎部脊柱管矢状径が狭いため軽度の亜脱臼で麻痺を生ずる,と述べた.さらに質問に対する返答として,麻痺の責任高位決定にはSEPが有用であること,haloによる外固定の適否は不随意運動の程度によるとのことであった.
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