特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「Ⅷ.一般(2)」の部
大井 淑雄
1
,
井上 駿一
2
Yoshio Ooi
1
,
Shunichi Inoue
2
1自治医科大学整形外科学教室
2千葉大学医学部整形外科学教室
pp.359-361
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907593
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蓮江光男会長の手腕もさることながら脊椎外科研究会の演題数,内容共に年々非常な勢いで盛んになって来ていることを感じる.欧米での国際学会のそれに比較して内容は十分対抗できるだけの高度のものが少なくないことは喜ばしい限りである.小生が司会させていただいた8題の演題のうち4題が掲載論文となったがその他の4題も決して特別劣っているわけではなく,紙数に余裕があればすべて掲載していただいても可とも言うべき内容である.
まず大澤(東京厚生年金病院)は頸髄症患者がしばしば多彩な腰部症状を合併しているのに着目し,その症状の責任病巣決定や症状分析の一助を目的として腰部ミエログラムを検討した.たしかに頸椎であろうと腰椎であろうとやはり一本の連結せる脊柱であり,その中に含まれる脊髄や馬尾が相互の病変に作用を及ぼし合うことは納得できる.欧米では部位別の学会を形成しているのであるが本邦では脊椎外科として一本にまとまっており,かかる研究の出ることを見通していたとも考えられる.症状により圧迫に対する閾値は異なっており,下肢痛,知覚異常などは閾値が低く軽度の圧迫でも発症するが,間厥性跛行,筋力低下などは閾値が高くかなり高度の圧迫で発症するというものであった.中原(岡山大)の頸髄症にmaskされた腰下肢痛の鑑別や発生機序についての質問に対し,シビレや痛みの性質の差をあげて答えた.
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