特集 脊椎・脊髄外科診断学の進歩(第14回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「Ⅷ.電気診断(2)頸髄症」の部
玉置 哲也
1
,
里見 和彦
2
Tetsuya Tamaki
1
,
Kazuhiko Satomi
2
1千葉大学医学部整形外科学教室
2慶應義塾大学医学部整形外科学教室
pp.342-343
発行日 1986年4月25日
Published Date 1986/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907384
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- 文献概要
微小電位を記録するための電子機器が目ざましい発達をとげ,さらに価格的にも安定したものになりつつあることから,人体に発生する各種の電位をとらえ,それを機能的障害の客観的な観察方法として利用しようとする試みは最近とみに盛んになって来ている.とくに神経系の障害の診断にはこの方法が極めて一般的に用いられている訳であるが,末梢神経のように,その構造が比較的単純な組織においてはかなり的確な診断が可能なもののさらに複雑な神経構造を持つ脊髄ではどの程度の情報が得られるのであろうか.このセッションでは,この基本的な疑問点に何らかの解答を得るべく,さまざまな臨床神経生理学的方法論を駆使した結果が報告されており現時点におけるこの方面の臨床的研究の結論とも言える結果が示されていた.
まず,診断については,従来行われている最も基本的な針筋電図検査による解離性運動麻痺(Keegan型頸椎症)の検討が岡山大学の小西らにより報告された.その結果,顕著な筋萎縮を示している筋のみならず,その近接する髄節高位あるいは反対側の筋からも高率に異常筋電放電が観察されることが示されていた.ここで大切なことは,いわゆる針筋電図の注意深い観察により,かなり正確に障害の高位ならびに広がりを診断できるということである.この発表を除いて他の演題はすべて伝導路の観察,すなわち,末梢神経・脊髄・延髄・大脳皮質に至るインパルス伝導を観察することにより,障害の高位診断,予後判定などを行おうとする研究であった.
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