特集 不安定頸椎—基礎と臨床—(第17回日本脊髄外科研究会より)
座長総括/「Ⅶ.外傷」の部
金田 清志
1
Kiyoshi Kaneda
1
1北海道大学医学部整形外科学教室
pp.359-360
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908071
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平本ら(山形大)は中心性頸髄損傷52症例の治療経験からの報告で,受傷時Whiteらの基準で不安定性を認めたものが12例あり,6例に前方固定術を施行した.一旦症状軽快後に遅発性に不安定性が6例に出現し3例に手術を行った.遅発性不安定性出現の6例では受傷時全例に頸椎症性変化があった.脊柱管狭窄が高度になるにつれ重症度も増す,受傷後1カ月で麻痺回復の大方の予測が可能であり不安定性のない例でも脊柱管狭窄の著明なものでは除圧により遺残麻痺の改善があった(2例).遅発性不安定は進行性であったか,受傷時からの存在の見落としか(北大鐙)には,受傷前の予備状態が外傷を契機として遅発性不安定性をもたらしたものとした.
植田ら(総合せき損センター)の発表は採用論文となっているので内容を省くが,MRIで急性期の棘上棘間靱帯損傷の診断の可能性の質問(北大成田)には症例が少なくわからないが可能であろうと答えた.骨傷の明らかでない頸髄損傷では一椎間のみならず多椎間におよぶことがありその判断をどうするか(島田市民病院野坂)には’現在では前縦靱帯断裂はMRIの駆使で判断できるとした.骨傷のない頸髄損傷で損傷部位決定の最も良い画像診断は何か(富山医薬大加藤)に,平本は脊髄造影とCT,植田はこれらに加えMRIがとって代るだろうとした.手術術式の選択基準は前縦靱帯損傷の明らかなものには前方法を,不明なものは脊柱管拡大術を行うと述べた。
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