特集 腰仙部根症状の発症機序—基礎と臨床—(第15回日本脊椎外科研究会より)
座長総括/「Ⅶ.椎間板ヘルニア(3)」の部
酒匂 崇
1
Takashi Sakoh
1
1鹿児島大学医学部整形外科学教室
pp.358-359
発行日 1987年4月25日
Published Date 1987/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907592
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初めの二つの演題は,高齢者の椎間板ヘルニアによる腰仙部根症状についての発表である.持田(東海大大磯病院)は高齢者のヘルニアは腰部脊柱管狭窄症と症状が類似しており,混同されやすいことより,Love手術症例54例に再検討を加え,症状の特徴,発症機序を論じた.高齢者では,若年者に比し椎間板変性の程度は軽度のものがあり,L5-S1間が多く,腰部脊柱管狭窄に類似した症状を呈するものがある.手術所見は,ヘルニアによる神経根の圧迫,緊張が見られず,神経根の著明な緩みのみられる症例がかなりあり,手術後症状の改善をみたことより,神経根自体の加齢による変化すなわち神経根自体の易損性が存在するものと推測している.
田村(城西病院)は,80歳以上の高齢者における腰仙部根症状の発症機序について,8例の検索を行い発表した.手術内容は,椎弓切除術が主で,8例中4例に椎間板ヘルニアによる圧迫を認め,椎間板が症状発現に大きな比重を占めると強調した・佐藤(新庄病院)より高齢者の手術に当ってはリスクが高く,手術適応の決定について質問があり,高齢者であっても神経根の除圧やヘルニア摘出を行えばよい結果が得られるので,積極的に演者は手術をすすめる考えのようである.
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