カラーシリーズ
実験的頸髄圧迫の血管透過性に関する研究
酒匂 崇
1
,
富村 吉十郎
1
,
前原 東洋
1
,
矢野 良英
1
,
大迫 敏史
1
1鹿児島大学医学部整形外科学教室
pp.966-969
発行日 1979年10月25日
Published Date 1979/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905997
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家兎頸髄に後方より重錘圧迫(100g,15分)を加え,頸髄実質内の微細循環の変化についてmicroangiographyを用いて検討を行っているが,ここでは血管透過性の問題について論ずる.
頸髄が急性に圧迫を蒙り損傷されると,中心灰白質に出血巣が形成され,自己崩壊現象により病変は周囲に拡大する現象がみられる.出血巣の周辺灰白質および白質には阻血の所見が著しく,また血管の拡張や造影色素の血管外漏出もみとめられる.2.5%Evans blue bovinealbumine complex(EBA)の静脈注入により血管の透過性亢進状態を観察すると圧迫終了後5時間位までの間にEBAの漏出は最高に達する.血管壁透過性亢進は抗カテコールアミン剤(reserpine,alpha methyl tyrosine,phenoxybenzamine)の投与により著明な抑制をみ病変の拡大がみられない.これは損傷脊髄部にカテコールアミン物質が蓄積され,微小血管の収縮により,血管壁の破綻を生じ血液成分の血管外漏出を来たすというOsterholm説を支持するものと考える.
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