特集 脊椎の炎症性疾患
脊椎カリエスに対する病巣廓清術の経験
笠井 実人
1
,
田村 清
2
,
井上 紀彦
2
,
伊藤 吾希夫
2
Jitsuto KASAI
1
1神戸海星病院整形外科
2神戸中央市民病院整形外科
pp.354-361
発行日 1978年4月25日
Published Date 1978/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905699
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
敗戦後,日本が窮乏のどん底にあつて結核が多発した時期に,笠井は国立京都病院に勤務して,とくに戦地から引き揚げて来た多数の脊椎カリエスの患者を診ることができた.たまたまストマイを始めとする抗結核剤が発見されて,脊椎カリエスに対しても,京大整形外科の先達が手がけて来た病巣廓清術を近藤鋭矢教授,山田憲吾講師(当時)の指導の下に行なつたが,その後約30年,一貫した力針の下に手術的療法にとり組んで来た.
この疾患は通常脊椎の前の部分を構成する椎体および椎間板がおかされるから,前方から到達する方がより徹底した病巣の廓清ができるわけである.後方から入つたのではblindな操作に終つて,"病巣の廓清"とは程遠い結果になる,したがつて常に前方から進入することに苦労して来たわけである.これが私の一貫した方針であつた.
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.