視座
脊椎カリエスの手術療法
山田 憲吾
1
1徳島大学
pp.1127-1129
発行日 1977年12月25日
Published Date 1977/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905627
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今時,脊椎カリエスの手術療法を論ずるのはいささか陳腐にすぎる憾がないわけでもない.ところが,去る7月9日・10日の脊椎外科研究会のテーマは「脊椎の炎症性疾患」であり,ほぼその半は脊椎カリエスの課題で占められていた.たまたま私は座長の井上教授の求めにより,脊椎カリエスの治療部門に対するコメントを発表する機会が与えられた.周知の通り,カリエスは最近20年間に激減した.とはいつても絶滅したわけではなく,難治例治療の問題が若い研究者に新たなる挑戦意欲を湧きたたせているように見えた.
私が医者になつた当初,今から丁度40年前,脊椎カリエスはきわめて頻度の高い難治な疾患であつた.私はもつぱらこの病気の治療にひたむきに取り組んできたが,若ければ若いだけに勇み足はあつたし,老いれば老いただけに物臭になり活気を失つた.ともかく人生に中庸を得るということはなかなか困難なことだと改めて反省しているが,入局当時の京大の整形外科には「脊椎外科」の伝統もあり,加えて恩師,近藤先生のご指導もあつて,いつとはなしにカリエスに悩む多数の患者の治療に取り組み,これを私の生涯の仕事の一つとするような廻り合せにもなつた.
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