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I.緒言
最近の耳鼻咽喉科領域に於ける悪性腫瘍の治癒率は,放射線療法の進歩と共に手術的療法の進歩によつて著しく向上しつつある。
その手術的療法の進歩とは,原発腫瘍を徹底的に除去する様になつた事と頸部廓清術を行う様になつた事である。元来,耳鼻咽喉科領域の悪性腫瘍の最初の転移は殆ど例外なく頸リンパ節にくる。頸リンパ系は比較的閉鎖系統である為に,ここに転移した腫瘍細胞は暫時,ここに止まり,発育するのであるが,やがて胸管より更に全身血行に侵入する。即ち,頸リンパ節は,腫瘍の全身的拡りを防止する第一の壁であるとも云える。この頸リンパ系に腫瘍細胞が限局している時期に,頸リンパ系を徹底的に廓清除去すれば,頸リンパ節再発を防止できると共に,肺,肝その他の遠隔臓器への転移も防止できるわけである。この事実に対する病理組織学的裏づけに関しては,Ogura(1955),調(1956),或は元森氏(1960)によつて詳細に報告されている所である。
A radical resection of cervical lymphatic gla-nds is employed with favorable results for treatment of malignancy occurring in the fi-eld of otolaryngology for the period of recent 4 years at the Ohkubo Clinic of Kagoshima University ; 78 cases were treated in this way.
In 3 cases the chest glands were found to be involved after the operation. These cases were treated with open wound method.
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