境界領域
Dideoxykanamycin B(DKB)混入骨セメントの研究—第1報 溶出試験について
吉野 槇一
1
,
小坂 弘道
1
,
内田 詔爾
1
,
木村 賛
2
,
小川 公平
2
,
石山 昱夫
2
Shinichi YOSHINO
1
1都立墨東病院リウマチ科
2帝京大学医学部法医学教室
pp.1174-1178
発行日 1977年12月25日
Published Date 1977/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905633
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緒言
人工関節と骨セメントの開発により,関節置換術が近年普及してきたが,"術後感染と人工関節のゆるみ"が重篤な合併症としてクローズ・アップされてきた.なかでも術後感染は一度生ずると,手術本来の目的が失われるばかりでなく,予期せぬ医学的,法律的,経済的問題が起きてくる.術後感染の予防のため,無菌手術室,抗生物質の多量投与などの手段が講じられている.しかし,手術部位には人工関節と骨セメントを中心に壊死組織,死腔などができるので,術後感染が起こり易くなつている.そこでBuchholzらは手術部位の抗生物質濃度を上げる目的で,骨セメントに抗生物質を混入した1).本法は術後感染を予防するには非常に有効であると思うが,問題がないわけではない.なかでも 1)混入した抗生物質が微量,長期間溶出することにより,体内細菌叢に影響を及ぼし特に耐性菌を発生させること,2)抗生物質を混入したため,骨セメントの強度が減少することなどが問題である.
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