視座
学会とお祭り
飯野 三郎
1
1東北大学
pp.831
発行日 1977年9月25日
Published Date 1977/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905582
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学会にお祭りは,多かれ少なかれ付きものである.ことに理工・文科系よりも医学系において,お祭りが華やかなようである.それも欧米より日本の方が,より派手で賑々しいように思える.あるいはむかしからの,たとえば神田祭はじめ全国津々浦々に伝承されている民族個有の庶民性の表われであろうか.おかげさまでわれわれのように年の効を経ると,ほとんど日本方々の郷士芸能がみられて,見方によつてはまことに有難いことである.
しかしまたこうしたお祭り精神の一亜型として,わざと特に意地の悪い見方をすれば,少し大きな学会になると,たとえば外人ゲストをむやみに沢山呼んで,まるで後進国向けのような,いささかチャチな講演に過大な拍手を送らしめ,あとはフジャマ,ゲイシャや観光,夫人のshopping等に至れり尽くせりの無理をしたりする.ほんとうのいわゆる"Japanese Hospitality"からいささか逸脱したものを感じたりもするのである.
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