整骨放談
「整骨師」
飯野 三郎
1
1東北大学
pp.1044
発行日 1971年12月25日
Published Date 1971/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904628
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本誌に「整骨放談」という欄があるから,お前何か書かないかと,編集の岩原先生の話である.きけば,ずつと前にご自分が一度書かれたきりで,その後何年も空いたままだという.先生の次なら大いに光栄と一応は承諾はしたものの「整骨放談」の「整骨」という文字にちよつと引つかかつた.しかし考えてみると何でもないことだ.「整形外科」は"Bone and Joint Surgery"で,BoneもJointも骨が主構成部分であり,その機能を整えることが「整形外科」であつてみれば,これを「整骨」とおきかえてもおかしくないということになる.
理くつはそれでよいが,私の本心のどこかにやはり坦懐でないところが残つているようだ.これは,あながち私が長くいた東北地方だけではないと思うが,日本特有の「整骨師」の文字や音のひびきが脳裡にしみついているためだろう.学生がポリクリのとき,Anamneseで「……整骨医に行き,治療をうけまして……」などというと,すぐいきり立つて「君,整骨医という医師が日本の医療法にあるのかね」と目クジラを立てるのが常だった.患者がポリクリの予診で「セイコツに行つた」とか,時にはほんとに「セイコツ医に行つて……」とかいつたのを学生はそのまま用紙に書いたり,口に出したりして,小生の餌食になるのである.
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