臨床経験
骨壊死について—大腿骨metaphysisに見られた骨壊死の1例を中心として
荻野 幹夫
1
,
古谷 誠
1
,
浅井 春雄
1
,
蜂須賀 彬夫
1
,
村瀬 孝雄
1
,
笹 哲彰
1
Mikio OGINO
1
1国立病院医療センター整形外科
pp.980-985
発行日 1976年10月25日
Published Date 1976/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905423
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はじめに
血行不全が突然またはゆつくりおこり,組織の一部が壊死巣に変化することは内臓(心,腎,脾,肺等)にはしばしば見られる.同病変で整形外科に関係のあるものとしては,脊髄の前脊髄動脈症候群や種々の骨壊死症が知られている.
骨に関するものでは,そのすべてが血行不全のみによつているかどうかは問題があるが少なくとも発症機序の極めて重大な役割を果していると思われるものにPerthes病を代表とする一連の骨端症,Gaucherの骨梗塞,膝等にみられるosteochondritis dissecans,成人の無腐性大腿骨頭壊死6),SLE21)および他のcollagen diseaseに関連する骨壊死,ある種の血液疾患(sickle cell anemia12,19,22,23)等)や副腎皮質ホルモンの過剰投与による大腿骨頭および他部の骨壊死,慢性膵炎や膵癌10,14,15)による骨髄中の脂肪壊死を介しての骨梗塞,decompression sicknessによる骨梗塞等2,7,18)が知られている.
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