臨床経験
Synovial chondromatosisについて—関節例10例の自験例を中心として
荻野 幹夫
1
,
古谷 誠
1
,
浅井 春雄
1
,
蜂須賀 彬夫
1
,
村瀬 孝雄
1
,
笹 哲彰
1
,
小坂 正
1
,
岩野 邦男
2
,
工藤 洋
2
,
山崎 典郎
3
,
曾我 恭一
3
,
角谷 文祐
3
,
岡井 清士
4
,
東 晃
4
,
高橋 洋
5
,
長坂 与一
5
,
司馬 正邦
6
,
奥津 一郎
6
,
三上 隆三
7
Mikio OGINO
1
1国立病院医療センター整形外科
2国立相模原病院整形外科
3都立墨東病院整形外科
4都立駒込病院整形外科
5三楽病院整形外科
6東芝中央病院整形外科
7聖路加国際病院整形外科
pp.613-621
発行日 1977年6月25日
Published Date 1977/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905545
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はじめに
Synovial chondromatosis(またはosteochondromatosis)と呼ばれる特異な,滑膜中の軟骨組織および骨組織の出現を特徴とする疾患は,Reichel16)(1900)の報告以来,報告例数の増加とともに,病態が明らかになつてきた.しかし比較的稀な疾患であり,わが国の報告例数も150例を越えないと思われる19).滑膜中に軟骨塊や骨化巣が出現する条件の詳細については不明な点が多いが,この現象は臨床的には各種慢性関節疾患にも時に見られる.また関節遊離体もこれら種々の疾患で見られ,遊離体が関節液中で成長することとともに,遊離体の存在のみから,原疾患が何であつたかを決定することは困難であることが多い.これらの事実を考慮し,かなり厳密な意味でsynovial chondromatosisを定義した人々8,9,11,13)によると,synovial chondromatosisは組織学的に一次性の滑膜内軟骨化生像を示すものとなる.この定義に従つて8例の確診例と2例の疑診例(X線像のみによる)をまとめた.これに多少の文献的考察を加えることが本文の目的である.まず症例の報告をする.
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