論述
骨原発性悪性組織球腫の一例—骨原発性細網肉腫と骨原発性悪性線維性組織球腫の中間的存在
荻野 幹夫
1
,
笹 哲彰
1
,
古谷 誠
1
,
浅井 春雄
1
,
蜂須賀 彬夫
1
,
村瀬 孝雄
1
Mikio OGINO
1
1国立病院医療センター整形外科
pp.1033-1037
発行日 1976年11月25日
Published Date 1976/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905431
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はじめに
骨原発性悪性腫瘍中,細網肉腫は,疾患単位として認識されたのが比較的遅く14),症例の数も少ない.当初は,Ewing肉腫等と似て非なるものとして認識され,組織像上の特徴と,臨床上の幾つかの特徴,特に予後の比較的良いこと7,14),が一つの独立疾患単位として認識されるには十分なものと考えられた.他方骨外の全身の細網内被系の研究より,それに由来する悪性腫瘍の一つとして,細網肉腫の存在はよく知られていた.これと同じものが骨髄中の細網内被系より発生し得る可能性のあることは,Oberlingが指摘した(1928)11)が,まとまつた報告としてはParker & Jackson14)(1939)が最初であつた.組織球は,清野21)の命名に従えば,結合織内に散在する大貪喰細胞であり,機能上の特徴をもつて名づけられたものであるが,赤崎等19)によつて細網細胞に由来する遊離独立性細胞とされた,その悪性型の悪性組織球腫は,細網肉腫の分化型に屈する一つの疾患単位である.さらに,組織球と,膠原線維形成細胞の混在を特徴とする線維性組織球腫が,Kauffman & Stout9)の報告以来次第に認識され,その中の悪性のものの存在も報告されてきた.
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