手術手技
長管骨の病的骨折に対する金属メッシュ補強骨セメントによる手術法
飯田 勝
1
,
川口 智義
2
,
古屋 光太郎
2
,
Dan. M. Spengler
3
Masaru IIDA
1
1東京都老人総合研究所運動研究室
2東京医科歯科大学医学部整形外科学教室
3University of Washington
pp.933-939
発行日 1976年10月25日
Published Date 1976/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905417
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緒言
癌の骨転移による,長管骨の病的骨折患者のうち1年以上の予命が期待できるものが30%以上あるとの報告がある9).したがつて,患者の全身状態が良好なら,苦痛を和らげ,看護の便宜を増し,活動能力を回復させるため,手術的に大腿骨中枢部では,人工骨頭やnail-plate,大腿骨骨幹部では,髄内釘やplateによる内固定が行われてきた8,12).しかし,この手術を行つた患者のうち約1/5だけが完全体重負荷可能であつたとの報告10)にもあるように,広範囲の骨皮質破壊があるため,通常の内固定具のみでは確実な病的骨折部の固定が得られず,特に体重負荷を要する下肢長管骨では,骨折部が癒合するまで,歩行できぬので,その成功率も低かつた.この欠点を改善するため病巣部を健常部も含めて広範に切除し,骨セメントでその欠損部を補充し,内固定具固定を行い,より確実な骨折部の固定を得ようとする試みは,Scheuba13)以来Müller11),Franklin2),Harrington3),Enis1)らにより報告され,わが国でも松崎10)が最近この手術法を詳しく紹介している.この再建法も,日常生活の活動に対してはどれ程一時的にしろ耐え得るかが疑問である.
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