境界領域
自家および同種関節部分軟骨移植に関する研究—酵素組織化学的および移植免疫学的検討を中心に
田中 晴人
1
,
野島 元雄
1
,
横山 輝昭
1
,
奥田 拓道
2
,
井上 正史
2
,
村岡 俊春
2
Haruhito TANAKA
1
1愛媛大学医学部整形外科学教室
2愛媛大学医学部第二医化学教室
pp.940-951
発行日 1976年10月25日
Published Date 1976/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905418
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最近,関節形成外科領域において,かなり関節移植術がとりあげられる傾向になつてきた.こうした動向は古くには,Ollier(1807)は実験的に-2℃で冷凍した軟骨を用いて同種関節移植を行つた.次いで,Tüffier(1911)は,臨床的に膝関節に同種移植術を行つて,約10年間,その機能を保持し得たと報告し,その後,1934年にはLexer,Payerは移植関節軟骨組織の形態の推移についての報告がある一方,また,これをmetabolicな面からの検討をしたものに,Laskin(1953)がおり彼はこの研究を新鮮および保存骨移植を用いて報告した.
さらに,1971年第58回ドイツ整形災害外科学会(D. G. O. T.)では関節移植(Die Verpflanzung von Gelenkknorpel)を主題としてとり挙げ,当時,臨床的,実験的研究が報告された.さらに1975年第62-D. G. O. T.ではBonn大学のThomas教授が一般演題のなかでGelenkteil und Volltransplantation zur Rekonstruktion von Knie und Hüfterkungenと題して発表し,自験例約10例の移植成功患者を示しながら講演していた.しかし,関節移植を普及化させるためには数多くの困難な問題点が予想され,今後,同種,異種を問わず関節移植実用化のためには,さらに詳細な基礎的および臨床的研究が重要と考えられる.
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