臨床経験
Hunter症候群—血漿注入療法の経験を中心に
中川 研二
1
,
新名 正由
1
,
中川 智之
1
,
花岡 英弥
1
,
関 恒夫
1
,
田代 征代
2
Kenji NAKAGAWA
1
1慶応義塾大学医学部整形外科学教室
2慶応義塾大学医学部病理学教室
pp.615-624
発行日 1975年7月25日
Published Date 1975/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905213
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はじめに
1917年Hunter15)は肝脾腫・骨格変形・難聴・短頸・四肢関節拘縮・心雑音を伴つた侏儒症の兄弟例を報告した.その後Brante2),McKusick17),Dorfman11),Neufeld21)等の臨床的・病理学的・生化学的研究により,現在では本症は酸性ムコ多糖代謝異常症の1つとして,性染色体劣性遺伝を示し,最新のMcKusick18)の分類では第II型に位置づけられている.その病態生理と酵素欠損については,ここ数年の研究の進歩は目ざましいものがあるが,その治療法に関しては,他の骨系統疾患と同様まだ根治的治療法はもちろん有効な療法さえもなかつた.しかし1971年Di Ferrante9)は血漿さらには白血球注入による治療を試み,臨床症状の著明な改善を報告した.
われわれは数年来,酸性ムコ多糖代謝異常症の各型について生化学的検索を行つているが,今回2歳男児のHunter症候群の1例に新鮮血漿注入療法を行い,臨床症状の改善,尿中酸性ムコ多糖の変化等興味ある所見を得たので,若干の考察を加えて報告する.
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