論述
植え込み電極法の整形外科的応用—とくに麻痺性尖足に対する臨床応用と電気生理学的観察
山根 友二郎
1
Tomojiro YAMANE
1
1千葉大学医学部附属病院整形外科教室
pp.904-912
発行日 1972年11月25日
Published Date 1972/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904763
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はじめに
脳卒中,脳外傷など高位中枢神経障害に基因する片麻痺患者は下肢の麻痺性痙性尖足を起す.患者はこのため歩行に困難を感じるが,従来,これに対し種々の保存的,外科的治療がなされてきた.たとえば,患側のマッサージ,Braceの使用,痙性に対しPhenol Block,Neurectomy,Myotomy,Tenotomy,麻痺筋に対しTendon Transferあるいは足関節のArthrodesisなどである.これらは,それぞれ一長一短があるが,1960年Liberson5)らは,次のような奇抜なアイデアによる治療法(Functional Therapy)を考案した.つまり,彼らはM. tib. ant. のMotor Pointを表面電極を用いて歩行のSwing Phaseに電気刺激することにより,尖足を矯正し歩行を容易ならしめようと試みた.1968年11月以来,米国のRancho Los Amigos Hospitalにおいて植え込み可能な電気刺激装置を考案し,片麻痺患者の歩行の改善のために深腓骨神経刺激に応用されてきた(以後これをImplantと略す).これについての基礎的問題は,1971年玉置9)が報告した.
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