視座
学問の進歩に思う
片山 良亮
pp.7
発行日 1972年1月25日
Published Date 1972/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904635
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いい古された言葉ではあるが,学問の進歩というものは遅々としていながら,確実な足どりで進むものである.本年9月11,12日に東日本臨床整形外科学会が開催されたときに腰部椎間板ヘルニアの診断と治療および頸腕症候群が主題として取りあげられたが,それを聴いていて10年前と同じことを論じているような気がして,とり立てていうほどの進歩をしているとは思えなかった.しかし詳細に聴いていると,論ずるところが微に入り細にわたり,少しずつ進歩してきていることがうかがわれた.そこで私は,これが学問の進歩というものであろうと気付いた次第である.
このような古い研究課題はすでに先人が知恵をしぼり切つたものであるから,そう,急に大きな進歩や発見のないのが当然である.しかし古い課題も反復して研究しているうちに新しい進歩があるはずである.それにしても旧態依然とした診断法や治療法から早く抜け出して,最近は新しい検査法や療法がどんどん発達しているのであるから,これらの上手な応用で画期的な進歩をみたいものである.
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