視座
学会に思う
片山 良亮
1,2
1東京慈恵会医科大学
2東急病院
pp.9
発行日 1978年1月25日
Published Date 1978/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408905644
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最近,学会での研究発表は,専門化,細分化され,微に入り細にわたつて,われわれ老骨には理解し難いことが多い.私どもの学校を卒業した頃は,外科の学会にゆくと稀ならず整形外科的な演題が出ていたし,整形外科の学会でもときどき一般外科の演題がまじつていたもので,その領域はそれほど截然とはしていなかつた.
しかし当時の学会は,ある教授が,学会は真剣勝負の場であると申されたほど厳粛なもので,演説時間もよく守られていた.その頃は時間を知らせるのに鈴が用いられ,8分演説なら6分で予鈴が鳴り,8分で終了を告げる鈴が鳴つたものである.ところが,演説に余り熱中していると,その鈴が聞えないことがあつて,そのまま演説を続けていると,ジャンジャン鳴らされ,終には演説ができなくなつてしまう.これをわれわれは叩き落されると言つたもので,私にも経験がある.この鈴を青と赤のランプに変えたのは多分私が始めではないかと思う.昭和23年会長のときである.以来,青,赤のランプのみでもよく時間が守られ,かつ鈴が鳴らないから会場が静かにもなつた.ところが最近はどうかすると,赤,青のランプが無視され時間をオーバーする方がないでもない.これはアウトロウである.
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