今月の言葉
学問の進歩と助産婦
M
pp.9
発行日 1955年10月1日
Published Date 1955/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200926
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この度優生保護法が改正されて,受胎調節実地指導員も避妊薬を直接販売できるようになつた.従来薬品を販売できるのは主に薬剤師であることが薬事法に規定されている.その原則を破つて今度実地指導員も薬品を販売できるようになつたことは,大きい変革と云わねばならない.薬品を販売する以上,その薬品の薬理作用,臨床効果等についての正確な知識を持つていなければならない.
昔の助産婦は助産技術さえ優秀であれば事足りたのであるが,現在はその使命が一変している.即ち妊産婦,乳幼児の保健指導,さらには受胎調節指導へと,その活動分野は著しく拡大された.このような指導には広く深い専門知識と,社会常識,指導者にふさわしい高い人格とを要する.指導の対照となる一般社会の人々の常識,ことに保健衞生の知識は,最近非常に高まりつつある.新聞,雑誌がこれをとりあげ,ことに数多いラジオは毎日必ず医学放送を行つている.しかも,これら医学放送をする人は,その道の第一人者が当つている.毎日のラジオを聴くだけでも,医学常識が高まるのは当然である.これらの社会人を指導する助産婦は余程豊富な知識を持つていなければならぬことになる.学問は時六刻々進歩してやまない.これにおくれぬように努めねば,やがて指導者の地位から転落することにもなる.勉学には読書,講習会等色々の方法がある.
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