論述
通風症200例の追跡調査成績と診断基準について
吉野 良平
1
,
七川 歓次
2
,
前田 晃
2
,
辻本 正記
2
,
高橋 貞雄
2
,
小瀬 弘一
2
,
小松原 良雄
3
Ryôhei YOSHINO
1
1大阪厚生年金病院
2大阪大学医学部整形外科
3大阪府立成人病センター
pp.900-906
発行日 1967年9月25日
Published Date 1967/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904288
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いとぐち
欧米においては,成人における下肢の疼痛性関節炎を見れば,まず痛風を疑えといわれるほど痛風症は一般的な疾患で,関節炎クリニックにおける全患者の4〜5%を占めるという(Hench).ところが,わが国ではここ10年ほど前までは比較的稀な疾患とされていた.しかし最近数年間に,痛風患者に遭遇する機会が目立つて多くなり,本症に対する関心もとみに高まつてきた.したがつて痛風症を念頭に置くのあまり,安易に本症の診断が下される場合も少なくない.
痛風症の診断に関しては,まだ一定した基準もなく,各人によつて,いろいろの診断基準が設けられている.したがつて本症の特徴的な所見,あるいは臨床症状,その経過などの総合によつて最終的診断を下しているのが現状である.しかし実際の忙しい日常診療に際しては,2,3の比較的特徴的な症状に注目して,当初,一応の診断を下し,その後,精細な検査や,経過をみながら確定診断にいたる場合も多いことかと思われる.
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