論述
亜急性関節リウマチについて
七川 歓次
1
,
前田 晃
1
,
辻本 正記
1
,
高橋 貞雄
1
Kanji SHICHIKAWA
1
1大阪大学医学部整形外科学教室
pp.907-914
発行日 1967年9月25日
Published Date 1967/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904289
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慢性関節リウマチと診断され,治療をうけていた症例が,何ヵ月あるいは何年かの経過を経て,まつたく障害を残さずに治癒していることがある.一方,扁桃炎後の急性多発関節炎が長びいて,リウマチ熱よりも慢性関節リウマチの様相を呈してくるが,結局は一定期間後に完全治癒する症例もある.リウマチ性疾患の治療にたずさわる医師は,多少ともこのような良性の経過をたどる多発関節炎を経験している.この良性多発関節炎に注目したRavaultら(1950)は,その病状を分析し,これを成人の亜急性関節リウマチ(Rhumatisme articulaire subaigu de l'adulte)と名付けて,リウマチ熱および慢性関節リウマチから分離した.彼らは数年後,症例の追跡を行なつて,その診断の妥当性を確めている.Ravault et al.(1958),de Sèze(1954)はこの疾患の臨床像が,急性関節リウマチ(リウマチ熱)と慢性関節リウマチの中間的存在であるため,その輪郭の判然としない難点を認めながらも,こういう診断の枠を設けることの実際的な便宜と,リウマチ性関節炎の原因を考える上での意義を強調している.
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