手術手技
脳性麻痺に対する手術的療法—主として下肢に対する手術について
深瀬 宏
1
Hiroshi FUKASE
1
1聖ヨゼフ整肢園
pp.743-754
発行日 1967年7月25日
Published Date 1967/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904263
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はじめに
脳性麻痺の治療の根底をなすものはGeneral Rehabilitationである.その目的は筋バラソスの回復による異常姿勢,四肢変形の矯正と随意運動の獲得である.このRehabilitationの効果を増すために手術的療法もまた重要な手段であり,症例を選べば顕著な効果を得ることもできる.しかし手術的療法は,病型,知能,積極性,障害部位により極めて多様であり,その成績にも大きな差がある.
脳性麻痺は分娩時前後における諸種の原因によって惹起される脳の障害に続発する中枢性の運動機能障害を主徴とする疾患であり,中枢神経または末稍部に対して手術が行なわれているが,中枢神経に対する侵襲は主として全身の筋緊張の減弱を目的としている.末稍部に対する手術は,局部の筋緊張の減弱,変形の矯正を目的としている.中枢神経に対する手術は極めて限られた症例に対して行なわれているにすぎない.またその手術成績もなお満足できることは少ないのが現状であろう.一方,末稍すなわち筋腱,神経,骨関節に対する侵襲は比較的容易であり,侵襲度も適度に加減することもできるし,また,かなり積極的な手術も行なうことができる.著者の手術施行例は昭和38年12月以来,昭和41年9月までの間に91例,239肢に及んでいる.
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