シンポジウム 先天性股関節脱臼 私の治療法
私の治療法
今田 拓
1,2
Hiraku Imada
1,2
1宮城県立重度肢体不自由者更生施設拓杏園
2東北大学
pp.265-272
発行日 1967年3月25日
Published Date 1967/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904204
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はじめに
私の治療法という題を与えられると、何か秘伝の公開といつた忍者めいたニュアンスがあつて,秘伝など持ち合わせのない私にとつて大へん迷惑な話である.たしかに私は先天股脱の乳児とともに既に20年近い歳月を送つてきたとはいえ,そこで力を尽してきたことはフィールドワークであつて,治療そのものについてのオリジナリティーというものは全くないのである.そして換言するならばこの間の先天股脱の治療法は大きく流動し,Lorenz法から運動許容療法,例えばBatchelor法,さらにRiemenbügel法1),そしてVon Rosen法やoverhead tractionといつた多彩性を示し,とても私の秘伝などが出現する余地はいくら考えても存在するはずがないのである.そしていささか私にとつて大それた「私の治療法」という題を考え出した編集子を恨めしく思うのである.
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