Japanese
English
臨床経験
上腕骨滑車形成不全とガングリオンにより発症した肘部管症候群の1例
A Case of Cubital Tunnel Syndrome with Hypoplasia of the Trochlea and Ganglion
樋口 成臣
1
,
積木 秀明
2
,
上野 起功
2
Shigeomi Higuchi
1
1南島病院整形外科
2菰野厚生病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Nantou Hospital
キーワード:
上腕骨滑車形成不全
,
hypopiasla of the trochlea
,
肘部管症候群
,
cubital tunnel syndrome
,
ガングリオン
,
ganglion
Keyword:
上腕骨滑車形成不全
,
hypopiasla of the trochlea
,
肘部管症候群
,
cubital tunnel syndrome
,
ガングリオン
,
ganglion
pp.1389-1391
発行日 1994年12月25日
Published Date 1994/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901527
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抄録:われわれは上腕骨滑車形成不全により脱臼した尺骨神経がfibrous band部分でganglionにより圧迫され発症した肘部管症候群の1例を経験したので報告する.患者は41歳,女性.スーパーの店員.約2週間前からの左小指のしびれと脱力感を主訴に来院.X線所見でも,両側の上腕骨滑車の形成不全と尺骨神経溝の低形成を認めた.手術所見では,尺骨神経は肘の運動に関係なく前方に脱臼し,走行異常と言える状態で周囲の組織と癒着していた.またfibrous bandのすぐ近位にganglionが存在しており,fibrous bandとの間で尺骨神経を強く圧迫していた.上腕骨滑車形成不全では尺骨神経の走行異常やganglionが好発しやすく,そのことが尺骨神経麻痺の原因となっている.
上腕骨滑車形成不全が認められた患者においては,尺骨神経麻痺の出現に注意する必要があると思われた.
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