Japanese
English
臨床経験
肩甲骨骨折後に生じた肩甲骨轢音症の1例
A Case of Snapping Scapula after Fracture of the Scapular
加藤 弘文
1
,
秦 公平
2
,
藤田 義嗣
2
,
川那辺 圭一
2
,
中山 威知郎
2
,
岡田 欣文
2
Hirofumi Katoh
1
1長浜赤十字病院整形外科
2松江赤十字病院整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, Nagahama Red Cross Hospital
キーワード:
轢音
,
snapping
,
肩甲骨
,
scapula
,
骨折
,
fracture
Keyword:
轢音
,
snapping
,
肩甲骨
,
scapula
,
骨折
,
fracture
pp.1385-1388
発行日 1994年12月25日
Published Date 1994/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901526
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抄録:肩甲骨骨折後に生じた肩甲骨轢音症の報告は稀であるが,われわれは肩甲骨体部骨折後の変形治癒により轢音と疼痛を生じた症例を経験した,症例は41歳の男性で,交通事故にて右背部,右肩を打撲し,第4から第9肋骨骨折,外傷性血気胸にて当院呼吸器科に1ヵ月間入院した.受傷後1ヵ月頃より右肩関節の屈曲,外転時に轢音と疼痛を生じた.受傷後2ヵ月後に当科を受診した.単純X線写真正面像で肩甲骨下角部より内縁に平行に走る骨折線を認め、軸射像で胸郭方向への転位が著明であった.手術では内側の骨片が外側の骨片の腹側にもぐり込んだ形で転位し,変形治癒していた.肩関節屈曲,外転時にこの転位した骨片が肋骨弓の一部に接触して轢音を生じたと考えられた.骨片間を切離し仮骨を切除して骨折部を整復し,Zuggurtung法にて固定した.肩甲骨体部骨折後の過剰な仮骨形成と同様に,変形治癒も肩甲骨轢音症の原因となり得ると考えられた.
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