Japanese
English
臨床経験
巨大な仙骨神経鞘腫の1例
A Case of Massive Schwannoma in Sacral Bone
河野 茂
1
,
楠崎 克之
1
,
長谷 斉
1
,
西浦 博
1
,
平澤 泰介
1
Shigeru Kawano
1
1京都府立医科大学整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Kyoto Pretectural University of Medicine
キーワード:
仙骨腫瘍
,
sacral tumor
,
神経鞘腫
,
schwannoma
Keyword:
仙骨腫瘍
,
sacral tumor
,
神経鞘腫
,
schwannoma
pp.99-102
発行日 1994年1月25日
Published Date 1994/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901290
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抄録:症例は20歳女性.主訴は生理不順で中学生頃より強い便秘の既往がある.自覚症状は認めず,他覚的に右殿部圧痛,右アキレス腱反射の消失,両下肢の知覚低下及び軽度の筋力低下を認めたが,膀胱直腸障害はなかった.単純X線,CTで仙骨はSI以下が融解していた.またMRIでは病巣はT1で低,T2で高信号に抽出され,大きさは約12×11×8cmであり,子宮,膀胱,直腸を圧迫していた.血管造影では新生血管の増生が認められたが,血管壁の不整や貯留像は認めず,生検にて神経鞘腫と診断された.前方後方より全摘出を行い右S2以下の神経根は腫瘍とともに切除し,自家骨移植を追加した.術後陰部に限局性の知覚障害を認めるのみで膀胱直腸障害等は認めず2週間後より歩行可能であった.仙骨部の腫瘍は稀であり,しかもその約半数は脊索腫であるが,本例は脊索腫との鑑別は比較的容易であった.また発生機序より考えると,本腫瘍を骨原発腫瘍に入れることについて一度再考する必要があると考える.
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