Japanese
English
臨床経験
肝硬変症により治療に難渋した巨大な仙骨神経鞘腫の1例
Huge Sacral Schwannoma with Cirrotic Liver Required Difficult Treatment: A Case Report
福島 一雅
1,2
,
大幸 俊三
1
,
谷口 利尚
3
,
山本 忠男
4
,
鈴木 仁
5
Kazumasa Fukushima
1,2
1現:日本大学練馬光が丘病院整形外科
2日本大学医学部整形外科
3日本大学練馬光が丘病院外科
4日本大学練馬光が丘病院泌尿器科
5川口市民病院整形外科
1Department of Orthopaedic Surgery, Nerimahikarigaoka Hospital, Nihon University School of Medicine
キーワード:
仙骨腫瘍
,
sacral bone tumor
,
神経鞘腫
,
schwannoma
,
巨大腫瘤
,
huge-mass
Keyword:
仙骨腫瘍
,
sacral bone tumor
,
神経鞘腫
,
schwannoma
,
巨大腫瘤
,
huge-mass
pp.945-948
発行日 1994年8月25日
Published Date 1994/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901434
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抄録:肝硬変症を伴った巨大な仙骨神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は47歳,男性で,下腿の浮腫,腹部膨満感を主訴に近医受診し,下腹部に腫瘤を触れ徐々に増大したが放置,仙骨腫瘍の診断にて入院となった.HBVによる肝硬変症,高血圧症のほか左水腎症を合併.初診時所見として下腹部に境界明瞭,弾性硬,可動性(-)の小児頭大の腫瘤を触知し腹水も認めた.神経学的には知覚,運動障害はみられず,排尿排便障害を訴えるが性機能は保たれていた.血液生化学所見としては汎血球減少傾向,肝腎機能障害,炎症反応(+),血液凝固能の低下,また尿検査で血尿を認めた.CT,MRIにて仙骨左側より発生したと思われる腫瘤が骨盤腔内を占拠していた,手術を行い,前方から進入すると腫瘍は血管に富み,出血も多いため全摘出は断念し,腫瘍の被膜を残し血管の処置を行い腫瘍内切除した.病理組織所見は神経鞘腫であった.術後1年9カ月にて消化器症状,尿路障害は軽快しているが,注意深い経過観察が必要である.
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